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普通の家をつくる
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■住まいづくりにおける「起承転結」

物語にも、実際の様々な生活にも、様々な「起承転結」があります。
まさにM邸が形作られるプロセスにも、この「起承転結」がありました。


■「起」-----生活に対する価値観や思いの交換

「起」は初期の段階、Mさんご夫婦と様々な話をしながら、Mさんとその家族がどんな価値観や想いを持って生活しているのだろうか、Mさんからすれば、このコーディネーターや設計者や施工者は、自分たちの感性を果たして理解してくれる人なのだろうか、お互いにジャブを繰り出して反応を見ながらそれを自分で確かめようとします。Mさんが「駆け引き」されているのだろうかと悩まれていた時期がそれに当たります。

 

■「承」-----信頼関係の確立

ですが、やがて様々なやりとりの中で、お互いの考えていることが理解し合え、信頼感を持てるようになってきます。これがすなわち「承」の時期だと思います。
私もこの時期にいたって、ようやくMさんの感性と言いますか、生活やモノに対する考え方が少し理解できるようになってきました。

Mさんは、戦後昭和には「普通」にあった、嘘隠しのない潔いモノのデザインを好まれるのではないか、デザインされていないシンプルな美しさを理解する方ではないかと思うようになりました。
そのことを確信できたこの時期には、基本的な平面プランや全体の形のイメージが急速にまとまっていきました。
また、Mさんも倉庫ツアーを通じて住まいを形作る様々な材料に触れられて、より具体的な質感のイメージを高めていかれました。


家具
模型を作製

■「転」-----ローコストという課題

ただ、その間にもローコストという課題は私たちを悩ましていました。その対応として中間時期で見積をしてみることにしましたが、これは施工者が最初から加わって一緒に検討をしてきたからこそできること。でも、その結果はやはりかなり予算をオーバーしていました。

そこで、私たちは検討しあった結果、思いきった減額の提案をすることにしました。その提案は、減額の効果は
もちろんですが、Mさんの感性に訴えかける内容でなくてはなりません。
それまでにいかにMさんの考え方を理解できていたかという意味で、正念場とも言える瞬間でした。この時点が実は「転」だったのだと思います。

ドキドキしながら聞いたMさんの反応はとても好意的で、私たちも喜びを共有できたと実感したのでした。


外観
多目的スペース

■「結」-----住まい手が変化させていく可能性を残しつつ

最後の「結」の時点は、どこに終点を置くか、あるいは何を最後とするかということで変わってきます。
今回の設計作業だけを考えても、住まいには全てのことを設計しつくさない「余白」を残しておくべきだという私の持論に照らせば、設計さえもまだ「結」を迎えていないと言えます。
工事もまた然り。
これから何十年かかけて、M邸もどんどん変化していくはずですから、ほんとうの「結」はMさん一家が遠い将来見届けることなのかも知れません。でも、
設計と施工の一応!の「結」は無事迎えることができました。
これから、Mさん一家はこの住まいと共にどのような生活をおくられるのでしょうか。
でもそれはMさんにお任せすることであり、私たちは次の「起」に向かいます。


和室

■チームワークでつくる住まい

EDITの住まいづくりは、設計事務所のように、設計は設計でキチッと終わってから施工者に見積をしてもらって工事に入るやり方ではないし、工務店のように、内部で何となく施工に都合の良い設計をして工事に入るやり方でもありません。
ケースバイケースで入る時期のずれはありますが、基本的にコーディネーターの元に設計者と施工者がチームワークを行いながら、お施主さんと打ち合わせを進めて、形を作っていきます。

M邸の場合も同じだったはずなのですが、いつの間にかそのチームワークに、お施主さんであるはずのMさんが自然に入り込んでいました。

以前のN邸のように、これまでもお施主さんがチームの一員のようになったことはありましたが、お施主さんが現場監督だったりして、少し特殊なケースでした。Mさんは素人でありながら、最終的にはチームの一員でした。

コーディネーター、設計者、施工者との話の中で、様々な問題点の指摘やアイデアを提供するお施主さんなんて、「普通」はいません。

お施主さんも一緒になったチームワークで住まいづくりをする、楽しさも、喜びも、悩みも分け合いながら、アイデアを出しながら形を作っていく、こんな経験は初めてでした。これからのEDITの住まいづくりの手法のひとつとして、今後お施主さんを巻き込んだチームワークが確立していくかも知れないと思えるほど、エポックメイキングな出来事でした。このような機会を与えてくださったMさんご夫婦に感謝!ほんとうに良い仕事をさせていただきました。


記念撮影
 

 

 
 

 
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