建物を建てる土地には、ひとつひとつ個性があります。これは新興の造成地でもそうですし、古い街などではなおさらです。個性は、その敷地自身が持つものと、周りからの影響によってつくり出されるものがあり、これはちょうど人間の個性とよく似ていますね。
家を考えるとき、家の個性ばかりに関心がいきがちですが、敷地の個性との相性もとても大切です。敷地をよく読み、お互いの個性の良いところを高め、悪いところを補い合わなければ、いい住まいにはなりません。
村野氏といえば日本を代表する巨匠建築家(あの新高輪プリンスの飛天の間を設計された方です)。学生の頃、教授に言われたことを引用され、建て主のイメージを大事にすることの大切さを力説されています。
偉大な建築家とは、クライアントのイメージを引き出し、それを形にする人。そしてそれができるかどうかが、建築家の才能であると。さらに、これをするためには、クライアントと多くの話し合いをすることも必要だと説かれています。
建て主はいろんな希望を持っています。そして、そのひとつひとつに思い入れがあります。でも、それらをつなぎ合わせるだけで家ができるわけではありません。それらを溶鉱炉の中に入れ、時間をかけて、熱を加えることが大切です。
大小いろいろな夢や希望を出すことに躊躇しないでください。設計者は、建て主から一風変わった希望が出てくるのを楽しみにしている、一風変わった人達。そこから、建て主の個性を読みとり、それを住まいの個性にしたいと考えているのです。
まさに楽屋という空間は、住空間の象徴のように見えます。そして共演者(家族)は、みんなでひとつの芝居(目標)に向かっている。これもまさに住宅と楽屋に共通することなのでしょう。