ソファに座って談笑したり、家族一緒にテレビを見たり、おやつを食べたり、お客さんを迎えたり。なんとなくそういうことをするところなんだろうなぁと思いながら、設計のとき、図面の中に「居間」と書きいれたりします。しかし、居間ってほんとは何なんでしょうか。
8帖〜12帖の洋間。応接セットや書棚やラックが置かれているところ。あるいは吹抜けと階段、ピアノのある部屋。世間一般の居間はこういう形が多いようです。でもそういったイメージは先行しているけれど、居間って実は何をするところかはっきりしない場所でもあるんですね。
台所や浴室、便所などはほとんど用途が決まっています。また、寝室や子供室なんかもそれほど変わった使われ方はしないでしょう。しかし居間は違います。その家庭家庭で千差万別。10の家庭があれば10種類の居間があるといってもいい。これは実際にこれまでいろんなお宅を見てきて実感することです。
機能重視、住宅に無駄なスペースはいらない、という考え方もあるかもしれません。実際、家が夜遅く帰って寝るだけのところという人にとっては、機能的な最小限の寝室と浴室とトイレがあればいいのでしょう。しかし、それではホテルと一緒で、家とは違う施設になってしまいます。やはり家には一見無駄なような、居間のような場所も必要なのではないでしょうか。
家は家族のためのもの、居間は家族が「だんらん」するところ、という定義はできると思います。ならば居間は、自分たちの「だんらん」とは何なのか、それを考えてそれをするのに都合の良い、気持ちのよい空間にすればよいということになります。
例えば、食事をしながら家族でしゃべるのがだんらんだという人にとっては、ダイニングルームを充実させた部屋が相応しい居間(茶の間だんらんタイプ)。また、家族が近くにいながら別々のことをするのがだんらんだという家庭は、ひとつの部屋に家族それぞれのコーナーをつくる、のが好ましい居間の形かもしれません(趣味追求共存タイプ)。
その他、ごろごろしてテレビを見たり本読んだりという人は、家具のないゴロッと横になれる空間(のんべんだらりタイプ)、友人がしょっちゅうきて麻雀なんかする人は、飲み食いもできる広めのプレイルーム的なスペース(わいわいがやがやタイプ)、小さい子供と一緒に遊ぶのが生き甲斐という人は広い子供部屋(子煩悩マイホームパパタイプ)。これらが、その家庭に求められる居間ということになるでしょう。
家族のだんらんから居間を考える。居間から住宅を考える。はじめに住宅という型や決まった部屋や物があるのではなく、自分たちの生活のスタイルから形をつくっていく、家を考えていく。このような作業の積み重ねが、個性豊かな住まいづくりを実現するプロセスになるのではないでしょうか。
個室の面積はできるだけきりつめて、居間に大きなスペースと予算とエネルギーと投入する。これが居間を中心に家を考えるうえでのポイントです。また、いろんなパターンの楽しいだんらんの姿をイメージすること、これもとても大切なこと。そのために、まずあなたの最もリラックスできる「だんらん風景」を思いうかべ、それに名前(テーマ)をつけることから始めてみましょう。
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