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住まいと暮らしの知恵

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  住宅情報とのつき合い方
2002.9.17更新

テレビ、ラジオ、雑誌、専門書と、いまや住宅に関する情報は巷にあふれています。しかもその内容は、簡単な収納の方法から本格的な建設のノウハウまで、幅広く、こと細かな範囲にまで及んでいます。すこし前までは、住宅情報といえば「物件情報」ということでしたし、一般の方が読むものとしては、「暮らしの手帖」に代表される、生活の賢い知恵といった内容でした。隔世の感です。しかし、これらの情報ははたして私たちにほんとうに役立っているのでしょうか。

我々専門家も、そういった情報には一応目をとおします。たいへん勉強になりますし、一般の方がどういう情報を得ているのかも気になるからです。ただ、同じものを見ても、読んでも、一般の方と我々とでは、恐らくかなり違う解釈をしていると思います。専門家は専門用語をたくさん知っていて、知識の量が多いので内容の理解度が高く、基本的な意味のつかまえ方や情報発信者の真意の捉え方が素人の方より正確だからでしょう。しかしこれは当然といえば当然。そこが専門家の専門家たるゆえんでしょうから。

情報は、ほしい人がいるから発信されるもの。だから、現在の風潮は社会の要請であるとも言えます。多様な価値観やスタイルが氾濫するこの世の中で、自分のスタイルや価値観を決めていかなければならないこと。いままで分からなかった、知らされなかったことが次々に明らかになり、そして明らかにされてきたことの中には少なからず愉快でないこともあること。それらのことがいま、私たちを情報収集にかりたてているのかもしれません。しかしこの、とにかく知らない分野の情報がほしい、ノウハウが知りたいという気持ちはとても大事です。

というのは、とにかく多くの情報に浸っていると、そのうち一種の「カン」が働いてくるからです。重要なポイントとそうでない部分の識別ができてくる。だからたくさんの情報を得ることは決して間違っていないのです。ただその時に大事なことは、その情報を自分の仕事や専門分野に照らし合わせてみるということです。ただ漫然とたくさんの情報を詰め込むと、多分にそれに振り回される恐れがあります。Aさんの言うことにフムフムとうなずき、Bさんの説に納得する。しかしよく考えてみると両者は全く反対のことを言っている、ということがよくあります。それでしばしば頭がパニックになるんですね。

ところが、自分のバックボーンに照らしてみると、一見全く違った世界の中に、多くの共通点が見つかります。そこが実は重要なんです。自分が毎日している仕事や生活。長年の経験から生まれたノウハウ。そこで培われた独自の目が、違う分野を見る基準や視点になります。この様々な分野、世界の共通点こそが、大袈裟にいうと「真理」です。そこをつかめるのが大人なんですね。枝葉末節の部分で理屈をこねるのは思慮分別のない子供にだってできます。それを許してしまったことが、現在の教育の荒廃につながってきているわけで・・・。話がそれました。とにかく、勘所をうまくつかまえることが、上手な情報収集の要諦なんですね。

さて住宅に話を戻しますと、住宅を造るためのノウハウ、知恵、知識は無限といっていいほどあります。しかもそれは日進月歩、社会の状況によって日々変わっていきます。ですから個々の情報を追いかけはじめると大変です。これは専門家でもそう。毎日大量に排出される住宅に関する情報をいちいち気にしはじめると、本来の仕事ができなくなる恐れさえあります。ですから、専門家はそれらの情報を必要か不必要か瞬時に選別しています。なぜ専門家にそれができるのかというと、それは、専門家に「スタイル」があるからなんです。専門家には、長年の経験や修行、勉強から得た「私はこういう住宅をつくる」という方針があり、それにとって、その情報が必要か不必要かという判断を常にしているのです。

これは言い換えると、住宅に唯一無二の正解なんかはない。専門家はそれをよく知っているということです。だから自分のスタイルを拠りどころにしている。しかし素人の人は、単純に解答は○か×、AかBと考えがちで、しかもそれが大変末節なところの話になりがちです。また、小さな間違いの上に、どんどん間違いを重ねていき、大きな間違いにしてしまう、ということもよくあります。素人の場合、とにかく考えの幅が小さいうえに、その情報を知った時の印象が大きいものですから、なかなか固定観念から抜けられないんですね。で、時にはそれに同意してくれる人だけが「よい専門家」だったりする。しかしこれは大変危険なことです。悪徳業者に引っかかるのは往々にしてこういう人だったりします。
とはいっても専門家だって千差万別。良心的ではあっても、初歩的な間違いをして平気な人もいるし、それで仕事をしている人もいる。また、専門家もスーパーマンではありませんから、全てに長けているわけではない。情報収集不足、勉強不足のところもあるでしょう。ですから専門家側も、謙虚に一生が勉強、という態度が大事です。

一般の方にとって、そのような専門家と出会うことはとても大切ですね。みなさんが得た情報収集の結果を、是々非々でアドバイスしてくれるよき相談相手を見つけましょう。そして、情報や専門家を神格化しないで、ご自分の生活や仕事に照らしてみて、「この情報はこのように解釈しよう」、「この人を信頼して、この部分をお任せしよう」ということをしっかり見極めてほしいと思います。



1 設計料の話(その1)
2 設計料の話(その2)

3

設計料の話(その3)
4 設計料の話(その4)
5 もう家づくりの話で悩むのはやめましょう
6 設計料の話(その5)
7 設計料の話(その6)
8 家づくりのための質問
9 設計料の話(その7)
10 設計料の話(その8)
11 設計料の話(その9)
12 設計料の話(その10)
13 設計料の話(まとめ)
14 住宅情報とのつきあい方
15 生活重視の家づくり-居間からの設計
16 生活重視の家づくり-テーブルからの発想
17 住まいと暮らしの知恵Q&A(質問1)-設計
18 住まいと暮らしの知恵Q&A(質問2)-地震
19 住まいと暮らしの知恵Q&A(質問3)-規制
20 住まいと暮らしの知恵Q&A(質問4)-家相
21 住まいと暮らしの知恵Q&A(質問5)-部屋
22 住まいと暮らしの知恵Q&A(質問6)-同居
23 あなたの家のホームドクター
24 地震に備える家づくり(その1)