依頼する方もされる方も一番気になっていて、なかなか言い出せない"設計料"。3%とか5%、10%、20%と、わけの分からない数字が一人歩きしている"設計料"。そして私たち設計者が生活の糧としている"設計料"。これまで、"設計料"という名を借りて、「設計」の内容や実態をもっと知っていだだこうとしてきました。
じつはエディットでは日頃からそういうことをしょっちゅう話しています。従来の設計のあり方はこれでいいのか、我々の理想とする設計とは何なのか、ということを飽きもせず議論しています。別コーナーの「プロジェクト・ボン」では、設計プロセスをかなり詳しくご紹介しました。もちろん全容というわけにはいきませんが、設計とはどういうことをするかは、かなり分かっていただけたのではないでしょうか。また、専門家のブラックボックスを少しお見せできたようにも思います。
建築には芸術的な側面もありますが、自分一人で創ることができる絵画や彫刻とは基本的に違います。注文者があってはじめて成り立ち、そして施工者などの第三者がいてはじめてできるものです。また、建築設計は俗に言うデザインだけではありません。構造が大丈夫か、設備に間違いはないか、インテリアが考えられているか、積算は確かか、工事現場の事情が考慮されているかなど、数えるときりがないほどの要素を検討しなければなりません。
また、建設にまつわるさまざまな人間関係にもタッチする必要があります。建築主との打ち合わせからはじまり、関係官庁との協議、周辺住民や近隣者との話し合い、共同設計者との調整、建設会社との折衝、職人とのやりとり等々。なかにはかなり厄介なことも含まれていて、建築主が自らできないことや、しないほうがうまくいくケースも多いので、我々設計者の出番となります。つまり、たとえ小さな住宅でも、たいへん多くの事柄を処理し、まとめていくのが設計という行為なのです。
他の業界と同様、設計の業界も全国的な組織があります。以下、私も会員である「社団法人徳島県建築士事務所協会」の業務報酬略式算定方法をひとつの事例としてご紹介してみます。報酬すなわち"設計料"の計算式は下のとおりです。
「報酬=直接人件費+経費+技術料+特別経費+消費税」
・直接人件費=標準業務人・日(人×労働日数)×直接人件費(給与+諸手当+賞与+退職給与+法定保険料)
・経費=直接経費(業務に必要な印刷製本、複写費、交通費等)+間接経費(事務所運営に必要な人件費、研修費、減価償却費、通信費、消耗品費等)で通常は直接人件費×1〜0.75
・技術料=設計業務に対する技術料、創造力等の対価で通常は直接人件費×0.5程度
・特別経費=特別な旅費、特許使用料等
この計算式によると通常の場合は、報酬(設計料)=直接人件費×(1+0.75+0.5)=直接人件費×2.25となり、例えば日当3万円(もちろんこの決め方にもいろいろ基準がありますが、とりあえず)の設計者が10日間かかると、30,000円×10日×2.25=675,000円+消費税ということになります(が、これをなかなか貰えていないのが実状のようです・・・)。
これはいわゆるマンデイ計算とよばれる「かかるであろう人と日数」から割り出される方法です。根拠は、前述の建設省告示第1206号。しかしこれはあくまで参考資料で、協会の統一業務報酬率ではないということになってます。なぜかというと、統一設計料を設定すると独占禁止法に触れるからです。しかし、こんなところも"設計料"を曖昧にしている要素といえそうです。
|