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あれやこれや住まいを考える


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  ストックを活用する時代へ

さて、最終回のテーマには「ストック」などという聞きなれない言葉が入っていますが、このストック、経済用語で「資産」あるいは「社会資本」などと訳されます。
つまり、現在あるモノ(これにはもちろん「家」も含まれます)を単純に建て替えるのではなく、大事に活用していく時代ですよ、ということです。
これは、もちろん、今の経済状況からばかり言われている訳ではありません。
地球的規模で必要な省資源や省エネルギー、リサイクル、リユースなどと無縁ではないのです。

地球環境への負荷を減らすために、省資源や省エネルギー、リサイクル、リユースを進めていこうとすると、モノを壊し、処分をすることに大変なコストが掛かるようになってきます。
これからは、産業廃棄物の徹底的な分別も義務付けられるようになり、ますますコストアップしていくと思われます。
このような状況の中で、増改築や改修をうまく組み合わせて、今ある住まいを活かして、住まい手の必要を満たしていこうとする動きが活発になってきています。

一例としてT邸のお話をしましょう。
奥様の実家のあった場所で、今はご両親は他の場所に住まいされていますが、建物はそのまま残っていました。
最初の計画では、コンクリートと木造の住まいをすべて壊して、一から新築する予定であったのですが、計画を始める前に取り壊しの見積をとったところ、非常にコストが掛かることがわかったのです。

ご両親の、思い出の残る建物の、できれば一部でも残して欲しい、との希望もあり、コンクリートの部分(平らな屋根の部分)を残して木造の住宅だけを取り壊し、新しい木造住宅をそこに継ぎ足すことにしたのです。
設計上は工夫も必要でしたが、お施主さんにとっては新しい住まいと感じられ、ご両親にとっては思い出が形として残り、そして私自身にとってはやりがいを感じることができ、良い結果になったのではないかと思っています。
まさに、ストックの活用ができたわけですね。

このように、私自身も、増改築に関わることがとても多くなってきました。
特に、住まいのバリアフリー化にともなう増改築を依頼されることも増えてきています。
皆さんの中で、建て替えを希望したり、中古住宅を買おうと考えておられる方がありましたら、何でもかんでも新築というのではなく、一度、増改築や改修を考えてみるのも有効かも知れません。
また、新築される場合でも、設計者と相談して、後で取り壊す時のコストが少ない工法や材料を提案してもらうとか、簡単な改修で住まい方の変化に対応できるプランにしてもらう、増築のことをあらかじめ考えた配置計画や構造にしておくなどのことがとても大事かと思われます。

21世紀の社会は、様々な意味で環境負荷の小さな、(地球が今の状態より悪化しないで)持続可能なモノづくりが求められていきます。
これまで2年間、このコーナーで書き綴ってきた内容も、間接的にすべてこのテーマに関係しているのです。
本当に何が大切なのか、みなさんにも考えていただきたいと思います。
今までの価値観を見直す時期にきているのだということをみなさんにお伝えをして、これでこのコーナーを終えたいと思います。ご愛読ありがとうございました。

(本田圭一/エディット・デザインワークス)

1 家族が触れあう住まい
2 自然の仕組みを利用する住まい-その壱

3

自然の仕組みを利用する住まい-その弐
4 自然の仕組みを利用する住まい-その参
5 太陽エネルギー利用を考える
6 住宅の素材を考える-その壱
7 住宅の素材を考える-その弐
8 住宅の素材を考える-その参
9 住宅の素材を考える-その四
10 住宅の素材を考える-その五
11 住宅の素材を考える-その六
12 住宅の構造を考える-その壱
13 住宅の構造を考える-その
14 バリアフリーの住宅-その壱
15 バリアフリーの住宅-その弐
16 バリアフリーの住宅-その参
17 バリアフリーの住宅-その四
18 バリアフリーの住宅-その五
19 バリアフリーの住宅-その六
20 バリアフリーの住宅-その七
21 生活の変化に対応する住まい
22 地域の景観に調和する住まい
23 様々な建て方が実現される住まい
24 ストックを活用する時代へ