約2年前、このコーナーを書き出す前に、エディットのメンバーで、住宅の建設ってどうあるべきなんだろうと、何回も話し合ったことがありました。
住まい手によっていろいろな考え方はあると思いますが、あまりにその選択肢が少ないのではないかというのが、その時の結論でした。
現在の選択肢は大きく分けて、工務店や大工さんに設計施工で建ててもらう、住宅展示場に行ってメーカー(大メーカーから地域の小さなメーカーまでありますが)の施工で建ててもらう、設計士に依頼して設計してもらい施工は工務店に頼むなどの方法しかありません。
工務店や大工さんに設計施工で依頼する場合は、自由設計で良いように思えるのですが、たいてい設計は下請けの設計事務所がやっていて、確認申請や施工に必要な最低限の図面しか引きません。
施工段階では大工さんのやりやすい方法や材料を使って施工するため、細部の使いやすい工夫やバリアフリーデザインに対する配慮が欠けるケースも少なくありません。
特に、大工さんが請負でなく、昔の出来高払いで行う施工では、コスト管理も難しいのが実状なのです。
その点、展示場で住宅メーカーの製品を選んで建ててもらう方法は、すぐに建設費がわかって安心感がありますし、施工面も研究されていて、施工期間が概して短いのも大きな魅力です。
でも反面、完全な自由設計は難しく、設計変更や材料の仕様変更を頼むと、驚くほど高い設計変更費や施工費を提示されることもあると聞きます。
また、展示住宅は照明器具や設備のグレードが高く、オプション満載の状態ですから、この面でも思わぬ出費を強いられることもあるでしょうね。
コスト管理について一番公正な結果を得られやすいのが、設計は設計事務所、施工は工務店というふうに、設計と施工を分離して発注する方法です。
自由設計で、きめ細かな工夫を考えてもらえるのも大きなメリットと言えるでしょう。
細かな部分の施工まで指示するのに必要な図面をきちっと描いてもらい、この図面に基づいて工務店で出された見積を設計士がチェックし、施工状態も図面通りにできているか、建て主に替わって監理してくれますから安心できます。
この方法のデメリットは、打合などに長い時間がかかるため、かなりのエネルギーが必要なことと、設計監理費の値段の高さです。
どの方法が良いというのではありません。
これだけの選択肢しかないということが言いたいのです。
日本では、大量生産のメリットを生かして、住宅メーカーが大きなシェアを占めていますが、大企業が強いはずのアメリカ合衆国では、ホームビルダー、ハウスビルダーと呼ばれる地域の住宅供給の会社がたくさんあって、様々な特徴を持った住まいづくりをしています。
例えば、全体を3〜4のピースに分けて工場で組み立て、トレーラーで運んできてわずか3日間で完成するトレーラーハウスと呼ばれる住宅を造る会社や、会社内部にデザイナーを多く抱えて、徹底的にデザインにこだわった住まいを造る会社、地域のスタイルを頑なに守った住まいを作り続けている会社などなど、選択肢がたくさんあります。
実を言うと、住まいの供給ももっと他の選択肢を選べるようにしていきたいというのが前提としてあったのでした。
その意味では、昨年から今年にかけて住宅講座をしながら、多くの人が参加して取り組んだ中澤邸(通称「ボンちゃん邸」)は、多くの示唆を私たちにも与えてくれたと感じています。
敷地探しの段階で備えるべき条件や希望の検討から始まり、計画から設計段階では、どのようなことから住まいを考え、自分たちの想いをどんな形で現していくのか、参加者みんなで考えていきました。
中澤さんの奥さんが工務店の現場監督であったことから、施工も様々な造り方にトライされて、愉快な住宅ができあがりました。
このような建設のすべてのプロセスをみなで考えていくという、まれな機会を与えてくださった中澤さんご夫婦には、ほんとうに感謝しています。
このように、様々な人が参加する住まいづくりも、これからの住宅供給のひとつの方法として検討していく必要があるかも知れません。
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