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あれやこれや住まいを考える


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  生活の変化に対応する住まい

私と同じように住宅の設計に関わる設計者と、住まいの設計について、「お施主さんの要望を含み込んだ上で、なおかつ余白のある住宅が必要だね」と話し合ったことがあります。
住宅を建ててから使用できなくなるまで数十年、家族一人一人の変化や家族構成の変化に柔軟に対応しようとすると、建設時からその用意をしておかなければなりません。
これを"余白"という言葉で表現していたわけです。

では、この余白、具体的にはどのようなことなんでしょう?
一番効果的なのは、部屋の大きさをできるだけ広くしておくということです。
これまで日本の住まいは、できるだけたくさんの数の部屋を確保しようという考え方で造られてきました。
普段ほとんど使わない客間や応接室のために、狭い部屋に我慢して住んできたとも言えるかも知れません。
土地の値段が高い日本では、狭い土地の上に限度いっぱいの建物を建てることがほとんどです。
それならば、あまり使わない部屋は切り捨てて、家族が集まるリビングや居室の大きさを広い目にとりましょう。
そうすることで、家族の実状に合わせた利用が可能になります。
身体が不自由になって布団からベッドの生活に変わっても、部屋が広い目であれば充分に対応できるのです。

次のような方法も家族の変化に対応する良いやりかたです。
例えば、こども部屋をふたつ並べる場合、このふたつの部屋を1室として造ってしまいます。
こどもが小さい間は幅いっぱいの収納を片側の壁面に寄せておいて、プレイルーム兼用のこども部屋にしておきます。
成長してきて個室が必要になった場合は、間仕切壁兼用の収納家具として真ん中に置けば、ふたつのこども部屋のできあがり・・・。
こどもが巣立った後は、お父さんの書斎と帰省したこどもの寝室にするなど、様々な使い方ができますね。
間取りの造り方で、こんなことも可能になるのです。

ここで、ちょっと見方を変えてみましょう。
住宅を建てて長く住み続けていく中で、必ず1度や2度は更新しなくてはならないものがあります。
それは設備機器です。
給湯器や配管はもちろんですが、キッチンセット、浴槽(ユニットバス)、便器などの水回りの機器や、エアコン、電気製品、照明器具なども、単に傷んだ場合だけではなく、生活の変化で必要が生じて取り替えたり、新設する場合が考えられます。
これらの設備機器の取り替えや新設を簡単にできるような仕掛けを考えておくことも、変化に柔軟に対応することのひとつと言えるのです。
例えば、できるだけ水回りの設備の位置を1カ所に集め、2階の設備の位置も1階に合わせて設置し、パイプスペースと呼ばれる上下や水平方向の配管をまとめる場所を造っておくと、傷んだ配管、設備機器の取り替えや新しい設備を設置する場合に、改造を最小限にしてコストも抑えることができるのです。

また、生活の変化といえば、人の趣味趣向も変化しますね。
例えば、この柄の壁紙が欲しいと思って施工会社に指定して貼ってもらったら、ものの1年もしない内に飽きてしまったということがあります。
これも何年か前のことですが、割に濃い色の洗面器や便器が流行ったことがありました。
ある住宅の設計をするときにこれを望まれましたが、きっと飽きが来るからもう少しベーシックな色合いにしておきましょうと説得しました。
今になって、あなたの言うとおりにしておいて良かったと言われます。
これもある意味で変化への対応の仕方ではないでしょうか。

これは私の個人的な考えですが、家は住まい手の生活を包む器だと思います。
住む人の生活は絶えず変化していきますが、その変化を人は自分の身の回りのモノに反映していきます。
でも住まい自体をそう簡単に変えることはできませんから、生活を絵だとすれば、住まいはその絵を映えさせる背景なのではないかと思うのです。
そして、住まい手を輝かせる背景を創ろうとする態度が、広い意味で"余白"のある住まいの実現につながるのではないかと考えています。
実際にはとても難しいことですが、私も常にもそのように造ることができればと思っています。

(本田圭一/エディット・デザインワークス)

1 家族が触れあう住まい
2 自然の仕組みを利用する住まい-その壱

3

自然の仕組みを利用する住まい-その弐
4 自然の仕組みを利用する住まい-その参
5 太陽エネルギー利用を考える
6 住宅の素材を考える-その壱
7 住宅の素材を考える-その弐
8 住宅の素材を考える-その参
9 住宅の素材を考える-その四
10 住宅の素材を考える-その五
11 住宅の素材を考える-その六
12 住宅の構造を考える-その壱
13 住宅の構造を考える-その
14 バリアフリーの住宅-その壱
15 バリアフリーの住宅-その弐
16 バリアフリーの住宅-その参
17 バリアフリーの住宅-その四
18 バリアフリーの住宅-その五
19 バリアフリーの住宅-その六
20 バリアフリーの住宅-その七
21 生活の変化に対応する住まい
22 地域の景観に調和する住まい
23 様々な建て方が実現される住まい
24 ストックを活用する時代へ