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あれやこれや住まいを考える


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  バリアフリーの住宅-その五

人が歳をとるにしたがって身体機能が低下する話はしましたが、これは何も運動機能に限ったことだけではありません。
特に目の機能低下は40過ぎくらいから意識されるようになります。
いわゆる「老眼」ですね。これに加えて、水晶体と呼ばれるレンズの部分が白濁したり黄色がかってくる変化も起こってきます。
ひどい状態になると白内障になるわけですが、個人差はあるものの誰にでも多少は起こります。
今回の話題はこの目の働きの変化に大きく関係している、部屋の照明や床の段差のわかりやすさについてです。

まず床の話です。
上に書いたような目の変化を踏まえて、安全に暮らせることを考えると、段差のある部分(例えば階段など)は段差があることがわかりやすく、段差のない部分には段があるかのような錯覚を起こさせないことが大変重要になるのです。
階段の場合などは、上から見たときに段と段の境目がわかりづらくなるので、段の先端にノンスリップと呼ばれる滑り止め兼用の金物を設置すると、段の位置がわかり、不安感がなくなります。
敷居の段差や玄関の上がり框の部分も材質や色を変えることで、段差があることがわかり、事故の防止になります。
逆に、部屋のカーペットなどを大柄な幾何学模様などにすると、段がないのにあるように感じてしまうことがあり、転ぶような事故も起こっています。

また、水晶体の白濁物質が光を乱反射して異常にまぶしさを感じるようになることがあります。
このような場合は床の色が非常に明るい色だったり、艶があって反射しやすい材料を使うと、ものの位置や状態を認識しにくくなりますから、気を付けなくてはいけません。
さらに、水晶体の色が徐々に黄色みを帯びる(黄変化現象)では、例えば白色と黄色の区別や濃い色と紺色の区別がつきにくくなってきますから、インテリアの色の組合せにも注意を払うことが必要です。
(黄変化がどれほど進んでいるかは検査を受けないとわかりません。相当黄変化が進んでいても、自分自身は脳の回路の中で補正して認識しているので、黄色っぽく感じているわけではないのです。)

このような目の変化にとって、部屋の照明も非常に大事です。
ムードを高めるための局所照明だけでは、普通の人には暗い部分が見えている場合でも、高齢者ではそうはいきません。
かといって局所照明を明るくすれば、先ほど書いたようにまぶしい感じが増幅されるので、ある程度の全体照明も必要だということですね。
光源(蛍光灯や電球そのものの光)が直接目に入らないような、間接光方式の照明器具にするとまぶしさがやわらげられ、高齢者の方でも安全性が増すのです。

もうひとつ照明で大事なことは、特に床に段のある場所などに必要だということです。
夜間に階段などを上り下りする場合、上からの照明だけでは自分の影などで足元が見えにくくなりますが、足元灯と呼ばれる照明器具を設置すると、段の場所がはっきりわかり安全なのです。
玄関の段の横に設けることも有効です。
この足元灯は、既存の家でもちょっとした改造で取り付けができますから、一度試されたらいかがでしょう。

このような目の状態を意識した照明や材質の検討は、一見若い方には必要ないように思われるでしょう。
でも、実は誰でもがわかりやすく安全になるのです。
これはまさにユニバーサルデザインの考え方と言えます。
住まいを考える上で、私は最初からこれらの工夫のように、用意できることはしておくべきだと思います。

 

 

(本田圭一/エディット・デザインワークス)

1 家族が触れあう住まい
2 自然の仕組みを利用する住まい-その壱

3

自然の仕組みを利用する住まい-その弐
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6 住宅の素材を考える-その壱
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10 住宅の素材を考える-その五
11 住宅の素材を考える-その六
12 住宅の構造を考える-その壱
13 住宅の構造を考える-その
14 バリアフリーの住宅-その壱
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18 バリアフリーの住宅-その五
19 バリアフリーの住宅-その六
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21 生活の変化に対応する住まい
22 地域の景観に調和する住まい
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