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あれやこれや住まいを考える


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  バリアフリーの住宅-その参

人はみな、健康であっても歳を経るにしたがって身体の運動機能が低下してきます。
特につま先を上げる力は弱くなりやすく、いわゆる「摺り足」に近づいてくるのです。
例えば廊下から和室に入るとき、踏み出した足は意識していますから敷居を越えられるのですが、残った足のことはあまり意識になく、思ったよりつま先が上がっていなくて、つまづいてひっくり返るという事故がかなりの頻度で起こっています。
わずか敷居の1.5cmほどの段差が、腰の骨折→寝たきり→痴呆の進行というプロセスの原因になってしまうのです。

では、住まいの中のどんな段差が問題になるのでしょう?
まず一番たくさん段差の箇所があるのは、先に例として挙げた、和室と廊下(または洋室)の間の建具敷居の段差です。
段差そのものは決して大きくはありません。せいぜい1cm〜3cmくらいのものでしょう。
ところがそのくらいの段差が、高齢者や幼児にとって一番つまづきやすい高さなのです。
新築の時には最初から設計に盛り込んでおけば、段差を完全になくすことは可能ですが、既存の住まいの場合一番良い方法は、廊下自体を嵩(かさ)上げしてしまうことです。
ミニスロープによる段差の解消もありますが、高齢者の足の具合によっては降り際にミニスロープでかかとが滑り、かえって危険な場合もあるので注意が必要です。

廊下とトイレとの間に大きな段差がある場合もあります。
水洗いしたいということで、昔は床をタイルにして廊下から段をつけて下りる形にしたのですが、洋風便器の普及した今ではあまり意味がなくなってきました。
フローリングなどの床材の方が乾燥状態を維持しやすいので、かえって衛生的だとも言われます。
新築の時はもちろんですが、現に段差がある場合でも、床を上げて敷居を削り、段差をなくすことも比較的簡単にできるのです。
もちろん洗面所なども段差を無くしたいものです。

同じように、浴室の段差も問題があります。
衣服を付けていない状態で移動する浴室では、つまづいて転んだときのダメージは非常に大きいですから、この段差を解消することはとても重要です。
最近はユニットバスで入口の段差のないバリアフリータイプも普及してきていますが、既存の浴室の改修も増えています。
この場合、大掛かりな工事をして床を上げ、洗面所側にお湯が流れないように溝を造って段差を解消する方法もありますが、簡単な解決手段としてスノコを敷いて段差を解消する方法があります。

このように、家の中の段差をなくすということは、歳をとっても安全に快適に、しかもしっかり生ていくための大きな力になるのです。
もちろん、高齢者にとって安全ということは、家族みんなにとってもより安全だということです。
その意味で、段差のない住まいづくりを当然のこととして取り組んでいます。
でも、新しく建てないとダメということではありません。
すでに今ある住まいの段差もちょっとした改造で段差の解消をすることができるのです。

しかし、実際には、階段や玄関の上り框(かまち)が一番大きな段差として残りますし、これを無しにすることはなかなかできません。
このようなどうしても段差の解消できない部分には手すりの取り付けが効果的です。
次回では、この手すりの設置について考えてみたいと思います。

(本田圭一/エディット・デザインワークス)

1 家族が触れあう住まい
2 自然の仕組みを利用する住まい-その壱

3

自然の仕組みを利用する住まい-その弐
4 自然の仕組みを利用する住まい-その参
5 太陽エネルギー利用を考える
6 住宅の素材を考える-その壱
7 住宅の素材を考える-その弐
8 住宅の素材を考える-その参
9 住宅の素材を考える-その四
10 住宅の素材を考える-その五
11 住宅の素材を考える-その六
12 住宅の構造を考える-その壱
13 住宅の構造を考える-その
14 バリアフリーの住宅-その壱
15 バリアフリーの住宅-その弐
16 バリアフリーの住宅-その参
17 バリアフリーの住宅-その四
18 バリアフリーの住宅-その五
19 バリアフリーの住宅-その六
20 バリアフリーの住宅-その七
21 生活の変化に対応する住まい
22 地域の景観に調和する住まい
23 様々な建て方が実現される住まい
24 ストックを活用する時代へ