|
ここ2〜3年、新聞紙上やテレビ、住宅の広告などにも、ようやくバリアフリーデザインやユニバーサルデザインという言葉が見られるようになってきました。
みなさんの目にもとまっていることでしょう。
でも、どういう意味か理解されている方がどれほどおられるでしょうか?
このコーナーでは、これからの住まいや生活の様々な場面で非常に大切なキーワードになってくると思われるこの問題について、何回かに分けて書いてみたいと思っています。
まず、バリアフリーデザインとは何でしょう。
直訳すると、障害を取り除くデザインということになりますが、これではピンときませんね。
例えば日常生活を考えた場合、ごく普通の健康的な人にとっては何の障害にもならない玄関の段差や階段、部屋のドアやふすまの敷居の段差が、実は高齢者や妊婦さん、小さなこどもにとって、ましてや身体に様々な障害を持つ方にとってはなおさら、危険な場所になっているという事実があります。
高齢者が、階段から滑り落ちる、敷居につまづいて転ぶ、浴室内で滑って身体を打つなどの家庭内事故で亡くなる数は、交通事故で亡くなる数と同じくらい多いのです。
人はみな歳をとっていつかは高齢者になりますし、妊娠したり、事故で骨折するな
ど、一時的に障害を持つことも少なくありません。
この意味から、あらかじめ自分の住まいをできるだけ安全な設計にしておくことや、必要になったときにすぐに手摺などが付けられる設計にしておくこと、つまりは住まいのバリアフリーデザインが非常に重要なことなのです。
自分はまだまだ若いのだから、住まいにバリアフリーデザインはいらないと思っていると、いつか後悔することになるかも知れませんよ。
では、ユニバーサルデザインはどういう意味なのでしょう。
これも直訳しますと、誰でもが(支障なく安全に)使えるデザインという意味になりますが、これはもっとわかりにくいですね。
よく、ユニバーサルデザインの例として引き合いに出されるのが、シャンプーとリンスのボトルです。
(全部ではないですが)主要なメーカーのシャンプーには、ボトルの側面にギザギザの突起が付けてあります。リンスにはそれがありません。
髪を洗っているときにはたいがい目をつむっていますから、シャンプーとリンスのボトルの違いが触るだけでわかるので大変便利ですね。
ということは、視覚障害を持った方にも同じように便利に使えるということになります。
これがユニバーサルデザインの基本の考え方なのです。
なんだ、ユニバーサルデザインというのはバリアフリーデザインと同じような意味なのかと思われるかも知れませんね。
確かに、入口の敷居の段差が無いということは、こどもからお年寄りまで、また車いすでも安全に通ることができるということですから、このような場合は重なっていると言えるでしょう。
でも、住まいは不特定多数の人が使う公共施設や商業施設などと違って、特定の家族や個人が長い間使用するものですし、その個人は年を経るにしたがって身体の力が衰えたり、病気などで障害を持つようになっていきます。
どうしても、その人に固有の障害を取り除くデザイン(=バリアフリーデザイン)も必要になってくるのです。
でも、住まいだけがバリアフリー化されても人間は生活できません。
時には、買い物にも出かけ、友人とも語らい、娯楽を楽しみ、生涯学習や趣味の場を人と共有してこそ、生き甲斐を持つことができるのです。
また、いくら住まいの中や道路や公共施設が利用する立場から使いやすくなっても、人々が心の中から、障害を持つ人を同じ人間として尊重し、社会でともに暮らす気持ちにならなければ、ほんとうにバリアフリーになったとは言えません。
ですから、私は高齢者や障害を持つ方と同じ立場に立って、住まいづくりをしていかなければならないと思っています。
|