住宅の間取りを考えるとき、まず何を優先しますか?
場合によって違うでしょうが、入りやすいようにドアの幅を広く取ったり、部屋が暗くならないように窓をできるだけ大きく取るようなことは、ごく普通にありそうですね。
でもそうすると、必然的に壁が少なくなります。
逆に、構造の面ばかり気にして壁を多くすると、風通しの悪い陰気な部屋になってしまいます。
とすれば、何かの方法で壁の量を最小限確保しながら、大きな窓を取らなければなりません。
現代の木造住宅では、壁を様々な方法で補強して、少ない目でも充分にバランスのとれた構造にしようとしています。
その方法のひとつが、筋交いを壁の中に入れるやり方です。
木造住宅の現場を見たことがありますか?壁を張る前の住宅の骨組みを見ると、いくつもの筋交いが入れてありますね。
筋交いを1本入れることで、何も入れない壁の2倍以上の強さを地震に対して持つことができると言われていますから、その効果は大きいわけです。
でも、筋交いはつっかい棒みたいなものですから、地震などで壁が変形すると、その両端である柱と土台の接合部や柱と梁の接合部に大きな力が加わることは想像がつきますね。
ですから、筋交いをたくさん入れると、柱と梁、土台などの接合部分を同時に補強しなければなりません。
この補強に使われるのが補強金物といわれる様々な形の金属製品です。これで、接合部分の部材同士をしっかり留め付けて、簡単には変形しないようにしてしまうのです。
この補強金物が、いかに正しい使い方でしっかり留めてあるかがとても重要なこと。
現代の木造住宅が金物でできているというのは、あながち間違いでもないのです。
このように在来工法と言いながら、実は昔の民家の造り方とは似て非なるものとなっているのが現実です。
でもそれで良いんでしょうか?
金属(主に鋼製ですが)はいつかは朽ちていくものですし、木は長年の間に少しずつ痩せていくものです。本当に建築当時の強度が長く保たれるのでしょうか。
私は繰り返し、昔からある日本の住まいの知恵を活かして造っていきたいと書いてきましたが、この点だけは、いまだ有効な答えを見い出せていません。
度重なる地震の被害の経験から、建築基準法の改正は徐々に木造住宅をより強く固い建物にすることを求めてきました。
でもこの考え方は、在来工法にとってはある意味でいたちごっこのような側面を持っていますし、外国から来た「ツーバーフォー」住宅や木質パネルのプレファブ住宅のような工法に極端に有利です。
ところが、研究者による実験などでは昔の土壁の持つ地震の吸収力や、(今の固い建物のようには)弱い部分にだけ地震の力が集中しない民家工法の木の組み方の良い面が再評価されようとしています。
住まいの性能は構造だけで評価すべきではありません。
充分な広さの敷地があり、高温多湿の徳島のようなところでは、「柔構造」である民家工法の再評価も可能になって欲しいというのが、私の本音なのです。
ごく最近の新聞で、政府がこれまで何でもかんでも下水道整備を進めてきた政策を方向転換して、分散して家が建っているような地域では合併浄化槽の推進を図るとの記事が出ていました。
私は個人的には前々からそうなるべきだと考えていましたが、住まいの造り方もこれに似た面があります。
地方には地方の様々な特性に合わせた住まいの造り方が必要なのではないでしょうか?
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