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あれやこれや住まいを考える


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  住宅の素材を考える-その五

私たちが健康に生きていく上で一番大事なものは、言うまでもなく空気と水ですね。
地球全体で考えると、これまでに起こってきた(というより今でも起こっていますが)様々な公害や現在大きくマスコミにも取り上げられている地球温暖化にしても、結局は空気と水の問題だと言っても差し支えありません。
最近新聞を読んでいても「環境」という言葉が大変増えてきて、様々な意味に使われるようになってきましたが、人間だけでなくあらゆる生物が健康に生活できる「環境」こそ、この空気と水の問題に深く関わっているのです。

このような流れの中で、住宅の室内環境も非常に注目されるようになってきました。
住宅の建材の中に含まれている様々な化学物質が空気中に出て、健康に障害を与えることがわかってきたからです。
逆に言うと、今の住宅の建材がそれだけ人工的な化合物やそれを含む材料で作られているということになります。
前回も取り上げましたが、フローリングの中にはムクの木を素材にしているにもかかわらずほとんどプラスチック浸けになっているものや、ベニヤ板、集成材など、自然の素材を接着剤という樹脂で張り合わせたものが、建材の中には多くあるのです。
もちろん、ビニルクロスやプラスチック製品もたくさんの種類があり、1軒の家をまったく人工化合物なしに作ることは不可能です。

最近住宅メーカーや家具メーカー、あるいは建材メーカーが、有害なホルムアルデヒド※の出ない製品だから安心ですよ、といった謳い文句でCMを流したり、広告を出したりしています。
確かにそれなりに考えては作られているようなのですが、人間がつくったものに完璧なものなどありません。
例えばホルムアルデヒドの発生がゼロというベニヤがあります。確かに、定められた試験方法にのっとって測定したときにホルムアルデヒドは出ないのですが、温度や湿度の条件が異なった場合には発生すると言われています。
住宅の建材は意外に過酷な条件にさらされます。
外壁の内部や屋根裏などは真夏だと50〜60度にも上がりますから、有害物質が出ないとは言いきれません。ましてや火災時の有毒ガスの発生は言うまでもないことでしょう。

その点、人間の生活の周囲に存在し、昔から使われてきた自然素材にはこのような危険は非常に少ないと言えます。
ムクの杉や桧はもちろん、土壁、和紙、竹などは、自ら呼吸して湿度の調整も行いますし、むしろ体に良い芳香物質を出すなどの事実も実験などで確かめられはじめているくらいなのです。
このような人にやさしい素材を使うことは、人工的に空気を清浄化したり温湿度をコントロールするよりはるかに省エネで、かつ気持ちの良い室内空間を実現できるはずです。
もともと人間は大自然の中で、他の生物と一緒に暮らしていたのです。このことは忘れたくないですね。

ただ、なぜ人工的な素材が住宅にたくさん使われるようになったかという理由は考えておく必要がありそうです。
例えば、早く施工できる、出来上がったときはきれい、価格が安い、後ですき間が空いたりしない、というようなことは想像できますね。
でもこれは、注文主の方が「早く造れ」「何でもいいから安く造れ」「見栄えの良いものを造れ」という要求と、「板の継ぎ目にすき間が空いたぞ」などというクレームを業者に突きつけてきた結果なのです。
でも家は、庶民にとっては一生に一度の大事業。
家族が健康に住むことのできる家を丁寧に造ることが一番大事なのではないでしょうか。
人にやさしい自然素材は呼吸し、ある意味で生きています。
そのことにより伸びたり縮んだりして多少すき間が空くかも知れない住宅と、見栄えはすばらしいが健康には?な住宅・・・、あなたならどちらをとりますか?

(本田圭一/エディット・デザインワークス)

1 家族が触れあう住まい
2 自然の仕組みを利用する住まい-その壱

3

自然の仕組みを利用する住まい-その弐
4 自然の仕組みを利用する住まい-その参
5 太陽エネルギー利用を考える
6 住宅の素材を考える-その壱
7 住宅の素材を考える-その弐
8 住宅の素材を考える-その参
9 住宅の素材を考える-その四
10 住宅の素材を考える-その五
11 住宅の素材を考える-その六
12 住宅の構造を考える-その壱
13 住宅の構造を考える-その
14 バリアフリーの住宅-その壱
15 バリアフリーの住宅-その弐
16 バリアフリーの住宅-その参
17 バリアフリーの住宅-その四
18 バリアフリーの住宅-その五
19 バリアフリーの住宅-その六
20 バリアフリーの住宅-その七
21 生活の変化に対応する住まい
22 地域の景観に調和する住まい
23 様々な建て方が実現される住まい
24 ストックを活用する時代へ